Google

2010年03月04日

944ターボ:11

前回のつづき。

ポルシェ924の商品価値を高めるべく開発された「944」は、924ではアウディベースのエンジンを搭載していたところを、自社開発のエンジンとして、より「ポルシェらしさ」を前面に押し出そうとした。

新エンジンの開発ベースとなったのは、「944」より一足先にデビューしていた当時の旗艦「928」のV8エンジンだったが、V8エンジンを途中でぶった切ってV6エンジンとする方法ではなく、Vバンクの半分だけを用いるように活用する直4エンジンとする方法が取られた。

つまり、924と944とは、エンジン自体は別物だが、そのシリンダー数でいえば同じとなったのだった。

もちろん、944用に開発された新エンジンはさすがポルシェ自製らしく、唯単に928のV8の片バンク分を活用したわけではなく、排気量の割りに巨大な直4をスムーズに回すためクランクシャフトと逆回転に2倍の速度で回る「サイレントシャフト」を装備するなど、924との差別化が図られていた。

ここで、この前も触れたラインナップの話に戻るのだが、諸般の事情で944は直4を積んだが、やはり6発(当時の状況としては90度V6)を積んでいれば、944はもっと売れたのではないのか??と思うのだ。

もちろん、直4エンジンがダメなエンジンだなどどいうつもりは全くなく、排気量が2000CC程度までであればシリンダー配置を問わず4発の方が6発に比べてスロットルをバンッと踏んだときのパンチが効いていて良いと思うのだが、人間というものは贅沢なもので、下のモデルが4発なら、上のモデルはもっとシリンダーの数が多い方がお金を出す価値があると考えがちだ。

確かに4発、6発、8発といけば、ラインナップ的にも分かりやすく、しかも8発改6発なら、エンジン的にもなんとなく弟分といった気もする(笑)

e613c4b6.jpg

日本市場では「911」のカリスマのせいか、イマイチ人気のなかった944シリーズだが、世界的に見ればそんなことはなく当時のポルシェの屋台骨を支えた立派なモデルだし、特に北米では相当数が売れた。

アメリカ人はこうした形のクルマがもしかしたら好きなのかも知れない。

しかし、個人的には日本市場で944が売れなかったのは日本人の「スペック至上主義」も大きく影響しているような気がする。

とにかく日本人は実際の乗り味なんかよりも「カタログデータ」が好きなのだ。
カタログにDOHCと書いてあれば、その瞬間にどんなに吹けるSOHCやOHVよりも偉くなるし、「6気筒」と書いてあればそれだけで「4気筒」より偉くなる。

日本とはそんな国だ。(最近はいくらか違うのかな???)

そんな日本人にとって、944の価格で4発というのは「え〜、それちょっと高くね??」と思っただろうことは想像に難くない。

→この話、つづく。
【944ターボの最新記事】
posted by す〜さん at 22:40| Comment(27) | TrackBack(0) | 944ターボ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月02日

944ターボ:10

前回のつづき。

ポルシェ社が924の発展型にV6エンジンを搭載しようとした気持ちは良くわかる。

1970年代後半、名車の誉れ高き911もそのデビューから相当時間が経っていたし、当時の経営陣は新世代の自社製品を求めていた。

その回答として、「924」、「928」が誕生したのだが、これら新世代の2台のFRの間には、少々ギャップがありすぎたのだ。

まぁ、シトロエンで言う2CVとDSとの間ほどではないにしても、エントリーモデルの次がいきなりフラッグシップになってしまって、中間がなかったわけだな。

k543355906.jpg

citroenDS.jpg

そのためにポルシェ社は924の次のクルマの開発に取り掛かった。ガワは「924カレラGT」が好評だったことから、これをモチーフ(というか、ほぼそのまんま)にすることにした。

そして、エンジンは?? ということになり、一番下は4気筒、一番上は8気筒ということで、真ん中は6気筒が販売戦略上もちょうど売り易いと考えられたんじゃないかな???

そのためこの前も触れた「PRVエンジン」搭載の924まで作って、そのバンク角90度V6エンジンの特性を調べたのだが、残念ながらどうもその具合は芳しくなかったようだ。

伝え聞くところによると、V6エンジンとシャシーとのマッチングが悪かったとも言われる。V6の振動特性がシャシーと合わなかったとも聞く。

ポルシェ社が928のV8エンジン改V6を作ろうとしたとき、どのような設計にしようとしたのかは分からない。そのため、その開発しようとしたエンジンがどこまで「PRVエンジン」に似ていたのかも分からないのだが、結果的に発展型924、すなわち「944」がV6エンジンではなく直4エンジンを搭載したことからいっても、ポルシェ社は90度V6エンジンを作るのはリスクが高すぎると考えたのではないだろうか??

歴史に「もし」はないが、もしこのとき944が90度V6エンジンを搭載してデビューしていれば、944の生涯は全く異なったものになったような気がしてならない。

→この話、つづく。
posted by す〜さん at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 944ターボ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月28日

944ターボ:9

前回のつづき。

「PRVエンジン」とは、当時のプジョー・ルノー・ボルボが共同で開発したV型6気筒エンジンで、V6にしては珍しく、バンク角が90度だった。

1976_005[1]1.jpg

そのため、ポルシェ社としては発展型924の試作車に928のV8エンジン改V6の代用として搭載して、その評価を行ったのだった。

しかし、思うにどうして「PRVエンジン」のバンク角は90度だったのか??

これは実は逸話?があって、そもそもの「PRVエンジン」もやはり最初の計画ではV8エンジンであったというのだ。だが、ちょうどその頃世界中を襲った石油ショックのため、排気量の大きいエンジンは開発しても需要がないと判断されたらしい。そのため、V8エンジンは計画を変更されてV6エンジンになったというのだな。

その名残が90度のバンク角というわけだ。

ある意味、当時のポルシェ社にとって「PRVエンジン」はまさにポルシェの研究開発を行うために作られたようなエンジンだと感じたことだろうと思う。

いくらV8エンジンをぶった切ってV6エンジンを作ろうといっても、エンジンの基本的なところの設計が使えるくらいのもので、実際には新規にエンジンを開発することと大して変わらない。そして、そうして開発したエンジンが本当に「使える」エンジンなのか、搭載する車体とのマッチングがいいのかは、エンジンの実物が出来て、それを搭載しないと評価が出来ない。

しかし、資本力の乏しいポルシェ社にはそれだけのリスクを冒すことが出来ない。

そもそも、V6エンジンを新規に開発するのなら、おそらく60度のバンク角を当然のように選択しただろうからだ。

そうしたときに転がっていたのが「PRVエンジン」だったのだな。

今、ちょうど作ろうとしているエンジンに実に良く似ている。
渡りに船とは正にこのことだ(笑)。

これを使って、発展型924の試作車を作ろう。

おそらく、こういう経緯があって、実際に「PRVエンジン」を搭載した924が、試作された。

→この話、つづく。
posted by す〜さん at 23:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 944ターボ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月27日

944ターボ:8

→この話、つづく。

前回のつづき。

スポーツカーのエントリーモデルとしてはエンジンが4気筒でもいいだろうが、それよりも上級モデルでは違うエンジンを載せて差別化を図りたい。

BMW%20e21%20ML%2015.jpg

例えばBMW3シリーズなどでは一番排気量の小さいモデルでは直列4気筒だが、上級モデルでは排気量拡大に伴ってエンジンも直列6気筒にグレードアップしている。

これと同じようなラインナップを組んだ方が、マーケティング上は有利になるだろう。

どうやら当時のポルシェ社はそう考えて、「928」のエンジンを2気筒ぶった切ったV6エンジンを作って、それを「924」の上級モデルに載せようとしたようだ。

しかし、そうおいそれとエンジンは作れない。

V8エンジンのシリンダーブロックを本当に2気筒分ぶった切ったところで、エンジンは回らないからだ(笑)

V8とV6とではクランクシャフトがまるで違うし、そもそも、ブロックを切ったところにフタをすれば済むほど、エンジンは簡単なものじゃない。

ちなみにV型エンジンはその「バンク角」が設計上、いろいろと問題になるが、今回はもともとのエンジンがV8・90度だったことからバンク角は必然的にV6エンジンとしては理想的とはいえないだろう90度とならざるを得なかった。

そのため、ポルシェ社は当時巷にあったV6・90度バンクのエンジンを見つけてきて、それを924に搭載することにより、90度・V6エンジン「924改」の評価を行ったようだ。

いまでこそV型エンジンというのは巷に溢れていて、流用するのにもそれほど苦労はないかも知れないが、1970年代当時はまだ、エンジンといえば直列エンジンが主流の時代であり、そもそも、バンク角が90度なんていうヘンテコなV6エンジンは殆どないというか、たった1つしかなかった。

僕が今思い返してみても、量産されたバンク角90度・V6エンジンというのはこれしか思いつかないから、もしかしたら後にも先にもこれしかないのかも知れない。

その「ヘンテコなエンジン」で、924改の試作車に積まれたエンジンとは、世に言う「PRVエンジン」だった。

prv-v6motor.jpg

→この話、つづく。
posted by す〜さん at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 944ターボ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月25日

944ターボ:7

前回のつづき。

少々インパクトの弱い「924」に活を入れるべく、ポルシェ社は924の発展型の「944」を開発した。

「944」開発にあたり、その搭載エンジンが検討されたが、当時のポルシェ社の台所事情から言っても、使えるベースエンジンは「928」に搭載の水冷V型8気筒エンジンしかなかった。

ここでエンジンの話が始まるととてつもなく長くなるのであまり触れないが、思うにある程度以上の大きさのクルマを買う人間は、そのクルマに乗っているエンジンがレシプロなら、エンジンの気筒数が多い方が喜ぶ傾向が高いように思う。

001E87CA.jpg

簡単にいえば、スーパー7なら直列4気筒エンジンよりシリンダーの数が多いエンジンを積んでいなくても、誰も文句は言わないのではないか??と僕は思うのだ。これは同じような大きさのエランやスプリジェット、MGBあたりでもいえると思う。

DSCF0475-Rs.jpg

しかし、これが「924」くらいの大きさになると、人間というものは欲張りなので、4気筒よりももっとシリンダーの本数が多いエンジンが欲しくなってくるのではないか??と思うのだ。

僕は世代的にいわゆる「スーパーカー世代」の末席に位置するので、子供の頃からの刷り込みでエンジンの排気量はデカイ方が偉い、シリンダーは数が多い方が偉い、みたいな(自分でもバカバカしいとは思うのだが)感覚がどこかにある(笑)

おそらく、これは多かれ少なかれ、万人共通だと思う。

「944」は「924」の上級モデルなんだから、「924」よりデカくでシリンダーが沢山付いているエンジンを搭載していれば販売戦略上も差別化が図りやすく、販促に有利に働く。

ポルシェ社がこう考えるのは当然で、5気筒ってのは直列エンジンでもないとなかなか難しいから、4気筒の次は普通で考えれば6気筒になる。

そして、手許にあるのがV型8気筒なら、後ろの2発をぶった切ればV型6気筒になるし、6発とはいえ、直列じゃないからもともと直列4発が入っていたエンジンベイにもどうにか収まるだろう。

エンジンを更で新規に開発するお金はどこにもないから、とりあえずこうでもしたらどうだ??

当時のポルシェ社はこう考えたのだった。

→この話、つづく。
posted by す〜さん at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 944ターボ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。